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みなさんは日本の伝統工芸「井波彫刻」をご存知でしょうか?
さらに、その井波彫刻をエレキギターに施した「井波彫刻ギター」をご存知でしょうか?
この記事では、そんな井波彫刻の技術が詰まった「井波彫刻ギター」の全貌 をご紹介します。
井波彫刻協同組合、崎田宗孝さんが井波彫刻ギター「龍剣」を弾く動画からどうぞ!

この記事は Ideal Guitars が書きました。
●Ideal Guitars(アイディールギターズ)代表
津田佳幸プロフィール
楽器・音楽業界13年、F社, G社, Z社などのギター・ベース製造に携わり1,000本超える楽器製造に関わる。「ギター解決.com」をきっかけにWEB発信スタート。
●経歴
2019年に独立。新規事業立ち上げを経験、3か月後に売上1000万円を達成。その後の失敗で酸いも甘いも経験。現在、自身の楽器事業・Web事業に力を入れ事業拡大中。
信念を「次世代への価値創造」とし、自者他者(社)共に尖った価値創造が出来るよう日々邁進。
井波彫刻ギターとは

井波彫刻ギターとは富山発祥の伝統工芸品「井波彫刻」の技術をエレキギターのボディで表現された、超異色とも言える夢のコラボギターです。
考案したのは「井波彫刻協同組合事務局長」の崎田宗孝さん
元々、音楽・ギター好きだった崎田さんが「井波彫刻の凄い技術を駆使してエレキギターに彫刻してほしい!」という、いわば崎田さんの個人的願望も込められた思いから始まったプロジェクトだったそうです。
1995年に井波彫刻協同組合に入社した崎田さんですが、この企画の実現に辿り着くまでは13年もの歳月が掛かりました。2008年「小規模事業者新事業全国展開支援事業」の採択決定により、「井波彫刻ギター」の制作に補助金が出る事が決まり、3本までなら制作OKとの承諾を得て、ようやく井波彫刻ギターの制作が決定しました。
そもそも井波彫刻とは?
井波彫刻ギターの紹介!と言っても、そもそも「井波彫刻って何?」と思われる方もいると思いますので、井波彫刻についても詳しく説明させて頂きます。
井波彫刻は江戸時代中期に富山県にある瑞泉寺(ずいせんじ)というお寺が火災により焼失し、再建される際に、京都の東本願寺より前川三四郎という彫刻師が派遣されました。
そして地元の大工がその彫刻の技法を学び、富山・井波の地にその技術が根付いた事が始まりとされ、当初の依頼内容は神社仏閣などの彫刻がほとんどでした。
※瑞泉寺は井波彫刻発祥の寺として現在は観光名所にもなっています。


その後、明治・昭和時代と時代を追うにつれ、住宅用の欄間(らんま)の生産量で日本一になる等、寺社・仏閣彫刻だけでなく、一般の住宅用彫刻も順調に発展していき、昭和50年には「国の伝統工芸品」の指定を受けます。
2018年に完成した名古屋城本丸御殿の復元工事の際には、井波彫刻の技術で欄間を見事に復元させて、名古屋城本丸御殿復元計画に華を添えました。
そして同年(2018年)に「木彫刻のまち井波」が日本遺産に登録されました。
このように井波彫刻は今や日本を代表する伝統工芸品のひとつとして認知されています。

井波彫刻ギターの紹介
それでは、実際に制作された井波彫刻ギターを紹介していきます。
龍剣

まず1本目です。作品名は「龍剣」
文字通りギターを龍が取り巻くように彫刻された作品で、見た目的にも非常にインパクトのある作品です。そしてサイズも普通のギターと比べてもかなり大きい。
制作者の高田斉さんは崎田さんと音楽の趣味が合った井波彫刻師で、崎田さんの企画提案の段階から制作の依頼相談をしていたようで、企画が実現した時も制作を快諾されており、井波彫刻ギターを象徴するギターが出来上がりました。
水月

次に紹介するのは「水月」という作品です。
水面に浮かぶ月をイメージして作られた作品だそうです。
先程の龍剣と比べると通常のエレキギターに近いフォルムをしていますが、井波彫刻の素晴らしさ・カッコよさは十分に感じられる作品です。
制作者の田中孝明さんは井波彫刻師になる前にギター制作職人を目指したこともある人で、龍剣の制作者、高田さんと同じく崎田さんの依頼を快諾したもう一人の人物です。
ギター制作職人を目指していた田中さんだからこそ作れた、エレキギターらしさを残した井波彫刻ギターと言えます。
Bird

3本目に紹介するのはベースギターの「Bird(バード)」という作品。
八咫烏(やたがらす)をイメージして作られた作品です。この作品の制作者岩倉雅美さんは当時の井波彫刻協同組合の理事長をされていた方で、井波彫刻ギター制作に補助金が出る事が決定した後、最後の1本の制作に手を挙げた方です。
当時の理事長である岩倉さんが制作プロジェクトに参加したことによって崎田さんの企画を組合内でも認めてもらえる様になり、その後の企画・制作を行いやすくなったと崎田さんは語っています。
獅子ギター

最後、4本目が獅子ギターとなります。
この作品は、当初、井波彫刻ギターの制作承認が3本のみだった為、初めの3本の中には入っていなかった作品です。しかし、前述の3作品が制作される段階から井波彫刻の代表的作品「獅子頭」をコンセプトにしたギター制作の構想はあり、制作本数の関係もあり断念されていたのですが、再び井波彫刻ギター制作に補助金が出る事が決定したことにより制作された待望の作品です。
先の3作品がどちらかと言えば男性向けに作られた作品だった為、この獅子ギターは「女性が似合う。コンパクト・カラフル」をコンセプトテーマに作られた作品です。
さらに、この作品は、北陸の伝統工芸のコラボと称された作品で、塗装は富山の「高岡漆器」が協力、さらに石川県の伝統工芸品「金沢金箔」も使用されたギターとなっており、まさに、北陸の伝統工芸の技術が凝縮された作品であると言えます。
現在の井波彫刻ギターの広がり

実際に井波彫刻ギターが制作され、その反響はどうだったのでしょうか?
現在、4種類の井波彫刻ギターが存在するのですが、実際に購入された実績は片手で数えられる程です。(先程、紹介の通り、井波彫刻ギターは普通のギターと比べ金額的にもかなり高額な物になります。)
しかし、様々なメディアで取り上げられ、井波彫刻をPRするイベントでも度々紹介されるなど、音楽ファンのみならず、井波彫刻に興味のある方、日本の伝統工芸品に興味のある方など、たくさんの方々から注目を浴びている事は間違いないようです。
実際に獅子ギターは東京浅草にある老舗料理店の方が購入し、お店の床の間に飾られている所がメディアで取り上げられていました。
また、発売から間もなく東京都内の個人から井波彫刻ギター「龍剣」の注文が1本入り、デザインを改良し制作されました。このお客様は全くギター経験がなく、展示・観賞用として購入されたそうです。

井波彫刻ギターへの関心が高まった事により、最近では音楽関連の商品と井波彫刻のコラボも増えてきている様です。一例を挙げるとスマホ用スピーカーに井波彫刻を施した商品などもあります。
元々は井波彫刻の良さを全国に発信する活動の一環として始まった井波彫刻ギターですので、発案者の崎田さんの熱い思いがある限り、今後も富山から全国に向けて井波彫刻ギターの良さを発信し続けるのではないでしょうか?


まとめ
・井波彫刻は富山発祥の日本を代表する伝統工芸品のひとつである。
・井波彫刻ギターとは、井波彫刻の技術がボディに施された伝統工芸品とギターという異色の組み合わせの作品である
・井波彫刻ギターには現在、「龍剣」「水月」「Bird」「獅子ギター」の4作品が存在する
・現在、井波彫刻ギターは様々なメディアで取り上げられ、多くの人から関心を寄せられている。
最後に今回、井波彫刻ギターを紹介した中で、私は海外に需要があると考えています。
東京都内の個人に龍剣が購入されたのも展示・観賞用として購入されたそうです。(もちろん問題なく弾けるギターです)
そこで海外のライブバー向け、展示・観賞用として需要。海外にはまだ広がっていないので日本を代表する伝統工芸の井波彫刻ギターを見られる、撮影できる、演奏できる、体験できる、というブランディングを強みにした店舗にすることが可能です。このギター解決.comを挙げて広げていきたいと思います。
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